| くる | こう | もん | ||
| 狂 | え | る | 肛 | 門 |
森本(仮名)は 幼時より電車を利用して登校していたため, いままでラッシュアワーにおけるいろいろな困難を数々と経験してきていた. 西武池袋線石神井公園駅-池袋駅間直通の急行電車における腹痛, 営団地下鉄有楽町線での下痢のいたみ...
急行電車は, 当然その定義からして, 無駄な途中駅での停車を許さない.
つまり, そのなかでの下痢には,
十数分もの苦痛の時間を越えたあとにしか解決が有り得ないのだ.
そして, 開放のときが訪れるまで,
車内空間は渇き切った冷たい都会の縮図と化す.
誰も自分を助けてはくれない.
誰も自分を苦しみから解放してはくれない.
そして万が一, 自分の理性が三途の川を越えた時, さらに自分の肉体が限界から一歩踏みだした瞬間, 菊門は熱きほとばしりで満たされ, そして彼は全てを喪うだろう. 男としての誇りも, 人間としての尊厳も...
森本(仮名)は我に返った. こんなことを考えている場合ではない. いち早く, この腹痛に対して, 何かの方策を講じねば. すくなくとも, この見苦しい己の姿を公道上に晒すのは堪えがたい. 増してや最悪の生理的事態に至ったときのことを考えるや...
森本(仮名)はあたりを見回した. すると, 前方左手に見える柵に囲まれた空間, その入り口には,
「○×△区-区民グランド」
彼は, 迫り来る腹痛を左手で押え, ぎこちない歩みで, 黒塗りの鉄の門のすき間から, そのグランドへと, 入っていった...
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